2026年5月25日

眼瞼下垂用点眼薬「アップニーク®(Upneeq)」とは?
手術以外の新しい選択肢を皮膚科医がわかりやすく解説
こんにちは。
駒沢自由通り皮膚科 院長の白石です。
- 「最近、目が開けづらい」
- 「昔より眠そうに見える」
- 「夕方になるとまぶたが重い」
- 「写真を見ると左右の目の大きさが違う」
このようなお悩みの背景に、眼瞼下垂(がんけんかすい) が隠れていることがあります。
眼瞼下垂というと「手術で治すもの」というイメージをお持ちの方が多いのですが、点眼薬による治療という選択肢も登場しています。それが、アップニーク®(Upneeq) です。
今回は、アップニークの**作用機序(なぜまぶたが上がるのか)**も含め、わかりやすくご説明します。
眼瞼下垂とは?まぶたが下がる状態です
眼瞼下垂とは、上まぶたが十分に持ち上がらず、黒目にかかってしまう状態です。
こんな症状はありませんか?
- 目が小さく見える
- 眠そうと言われる
- 視界が狭い
- おでこに力を入れて目を開けている
- 頭痛や肩こりがある
- 夕方になると疲れて目が開かない
軽度の方は「年齢のせい」「疲れ目」と思って見過ごしていることも少なくありません。
眼瞼下垂の原因は1つではありません
加齢によるもの
もっとも多いのは、まぶたを上げる筋肉(眼瞼挙筋)の腱膜がゆるむタイプです。
コンタクトレンズの長期使用
ハードコンタクトレンズを長年使っている方では、まぶたへの刺激で眼瞼下垂が起こることがあります。
生まれつき・神経性・筋肉性
先天性眼瞼下垂や、神経・筋肉の病気が原因のこともあります。つまり、見た目は同じ“まぶたが下がる”でも原因はさまざまです。
アップニーク®(Upneeq)とは?
アップニーク®は、加齢などによって生じる後天性眼瞼下垂に対して用いられる点眼薬です。有効成分は オキシメタゾリン塩酸塩 です。
通常、成人の方は1日1回、片眼につき1滴を点眼して使用します。製剤は衛生面に配慮した使い切りタイプの個包装となっており、0.3mL入りの容器が30本セットで販売されています。
「目薬でまぶたが上がるの?」と驚かれる方も多いのですが、これにはきちんとした理由があります。
アップニーク®の作用機序|なぜ点眼でまぶたが上がるのか?
まぶたを上げる筋肉には、主に2種類あります。
① 眼瞼挙筋(メインエンジン)
大きくまぶたを開ける主役の筋肉です。
② ミュラー筋(補助エンジン)
眼瞼挙筋をサポートする、薄い平滑筋です。
アップニー®は、このミュラー筋にあるα受容体を刺激し、筋肉を収縮させることで、上まぶたを持ち上げます。
つまり、「弱っているメインエンジンを、補助エンジンでサポートする薬」と考えると非常にわかりやすいです。
目から鱗のポイント①
“肩こり”の原因が眼瞼下垂のことがあります
眼瞼下垂の方は、無意識におでこの筋肉(前頭筋)を使って目を開けていることがあります。
この状態が続くと、
- 額のしわ
- 頭痛
- 首こり
- 肩こり
- 疲れやすさ
につながることがあります。
「整体に通っても治らなかった肩こりが、眼瞼下垂治療で楽になった」という方も実際にいらっしゃいます。
目から鱗のポイント②
“眠そうな顔”は性格ではなく、まぶたの問題かもしれません
眼瞼下垂があると、
- 不機嫌そう
- 疲れて見える
- 元気がなさそう
- 老けて見える
という印象を持たれてしまうことがあります。
ご本人の表情の問題ではなく、まぶたの位置だけで印象は大きく変わるのです。
アップニーク®はこんな方に向いています
手術はまだ考えていない方
まずは切らずに改善できるか試したい方に向いています。
ダウンタイムが取れない方
仕事や家事で休めない方にも選ばれます。
軽度〜中等度の眼瞼下垂
比較的軽い症状の方では、効果を実感しやすい傾向があります。
アップニーク®の注意点
根本治療ではありません
アップニーク®は、眼瞼下垂の原因そのものを治す薬ではなく、一時的にまぶたを持ち上げる治療です。
そのため、
- 重度の眼瞼下垂
- 皮膚のたるみが強い
- 視界障害が強い
このような場合は、手術の方が適していることがあります。
副作用として
- しみる感じ
- 充血
- 乾燥感
- 頭痛
- まぶしさ
などが出ることがあります。
目から鱗のポイント③
“二重が広くなった”は眼瞼下垂のサインかもしれません
女性の方で多いご相談です。
- 「最近、二重の幅が広くなった」
- 「アイラインが描きづらい」
これは、まぶたの皮膚だけでなく、眼瞼下垂でまぶた自体が下がっているサインのことがあります。
美容の問題と思っていたら、機能的な眼瞼下垂だったというケースは珍しくありません。
アップニークを使用してはいけない方(禁忌)
本剤の成分でアレルギーを起こしたことがある方
アップニーク®の成分によって過敏症(アレルギー反応)を起こした既往がある場合は使用できません。
過去に点眼薬で、強い充血、まぶたの腫れ、かゆみ、発疹、呼吸苦などが出たことがある方は、診察時に必ず医師へ伝えましょう。
特に注意が必要な方
1. 緑内障のある方
アップニーク®は散瞳(瞳孔が開くこと)を起こす可能性があります。
特に「閉塞隅角緑内障」や「狭隅角」の方では、眼圧上昇発作を誘発するリスクがあるため注意が必要です。
「緑内障と言われたことがあるけれど種類がわからない」という方も、事前に眼科で確認することをおすすめします。
2. 高血圧・心疾患のある方
オキシメタゾリンは血管収縮作用を持つ成分です。
そのため、高血圧、不整脈、狭心症、心不全、脳血管障害
などの既往がある方では、血圧変動や循環器系への影響に注意が必要です。
実際、添付文書では副作用として血圧上昇や心拍数減少も報告されています。
3. まぶたに炎症がある方
眼瞼炎や湿疹など、まぶたに炎症がある状態では使用を避ける、または炎症が落ち着いてから使用する必要があります。
特に、赤み、腫れ、かゆみ、ただれなどがある場合は、まず炎症治療を優先することがあります。
4. ドライアイ・角膜疾患のある方
点眼によって刺激感や角膜障害が悪化する可能性があります。
重度のドライアイや角膜障害がある場合には、慎重な判断が必要です。
5. 抗うつ薬を服用中の方
MAO阻害薬や三環系抗うつ薬など、一部の精神科薬との併用では注意が必要とされています。
血圧や自律神経系への影響が強く出る可能性があるため、現在服用中のお薬は必ず申告しましょう。
6. 妊娠中・授乳中の方
妊娠中や授乳中の安全性データはまだ十分ではありません。
そのため、「絶対に使えない」というわけではありませんが、利益とリスクを慎重に判断して使用する必要があります。
使用中に気をつけたいこと
点眼後にまぶしく感じることがある
アップニーク®では散瞳により、まぶしさ、ピントの違和感、見えづらさが出ることがあります。
その場合は、車の運転、自転車、機械操作を避けるよう案内されています。必要に応じてサングラスの使用も有効です。
コンタクトレンズ使用中の方
コンタクト使用中は、点眼後しばらく時間を空けることが推奨される場合があります。
刺激感や乾燥感が出ることもあるため、違和感がある場合は無理に継続せず相談しましょう。
こんな方は一度ご相談ください
- まぶたが重い
- 目が開きにくい
- 眠そうに見える
- 左右差がある
- 額にしわが寄る
- 夕方に目が疲れる
- 二重幅が変わった
駒沢自由通り皮膚科からのメッセージ
アップニーク®は、後天性眼瞼下垂に対する新しい“切らない治療”として期待されている点眼薬です。「年齢だから仕方ない」「手術しかないと思っていた」
そのような方にとって、アップニー®のような点眼治療は新しい選択肢になります。
一方で、
- 緑内障
- 高血圧や心疾患
- まぶたの炎症
- ドライアイ
- 一部の内服薬使用中
など、慎重に使用すべきケースもあります。
「自分に使えるのかな?」
「手術までは考えていないけれど相談したい」
そんな段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
駒沢自由通り皮膚科
院長 白石 英馨 監修