性感染症(STD:Sexually transmitted disease)とは、性的接触により、細菌・ウィルス・原虫などの病原体に感染する病気の総称です。初期は感染していても自覚症状に乏しく、気づかないこともあります。放置して症状が進行すると、頚管炎や下腹痛などを起こしたり、病気によっては骨盤腹膜炎を起こし不妊の原因になったりもします。当院で治療可能な性感染症について解説します。

性感染症
性感染症
性感染症(STD:Sexually transmitted disease)とは、性的接触により、細菌・ウィルス・原虫などの病原体に感染する病気の総称です。初期は感染していても自覚症状に乏しく、気づかないこともあります。放置して症状が進行すると、頚管炎や下腹痛などを起こしたり、病気によっては骨盤腹膜炎を起こし不妊の原因になったりもします。当院で治療可能な性感染症について解説します。
ヒトパピローマウイルス(HPV)6、11型の感染で起こる感染症で性器や肛門の周りにイボができる疾患です。男女どちらも発症し、男性の場合、陰茎、尿道、陰嚢、女性の場合、膣、膣前庭、大小陰唇、会陰部、子宮口、また男女ともに肛門や口腔にイボができます。
通常は、性的接触で感染しますが、時に高齢者や小児などにも見られることがあり、感染経路がはっきりわからないケースにも遭遇します(トイレのウォシュレット、お風呂のイスやタオルなど)。
尖圭コンジローマはイボができること以外に自覚症状がありませんが増数しますので、性器や肛門周りにイボができた場合は、放置せずにご相談ください。
当院での治療法は主に4つあります。
免疫反応を促進し、ウイルスの除去を助けます。2日に1回、夜間に塗布し、朝に洗い流します。治療期間は数週間から数ヶ月が必要です。保険適応は16週間です。
外用薬は使い方や治療期間に注意が必要で、使い続けても効果が現れない場合や副作用が出る場合には、医師の判断に基づく別の治療法が提案されます。
液体窒素を使用して、病変部分の異常な細胞を凍結させることで組織を壊死させます。冷却によりコンジローマが縮小し、最終的には自然に剥がれ落ちることが期待されます。比較的簡単で痛みが少ないため、外来での施術が可能です。また、治療後の感染予防として、性行為時の安全対策が推奨されます。
局所麻酔を施した上で、専門の医師がレーザーを使用して病変組織を蒸散させます。これにより、イボを取り除き、再発を防ぐ効果が期待されます。治療後は多少の痛みや腫れを感じることがありますが、通常は1~2週間で回復します。メリットとしては、早期に症状を改善できる点や、再発しにくいということです。しかし、HPV自体を完全に排除することは難しいため、再発のリスクがゼロではないことも覚えておく必要があります。
一般的な方法には、電気メス、レーザー治療、外科的切除などがあります。まず、局所麻酔を施して、患者が感じる痛みを最小限に抑えます。イボ部分を慎重に切除し、出血を最小化するために、必要に応じて止血処置を行います。治療後には、感染が再発しないように、傷口の感染予防や再発を防ぐためのアフターケアが重要です。また、手術により見た目の改善が期待できる一方で、感染が再発する可能性もあり、定期的な医師のフォローアップが推奨されます。
これらの治療法は専門医の指導の下で行う必要があります。
また、治療後にも再発する可能性があるため、定期的な受診やセルフケアが求められます。
梅毒トレポネーマによる感染で起こる感染症で、血液検査で感染の有無を調べることができます。また、初期硬結などにより生検し梅毒トレポネマを顕微鏡的に証明することもできます。主な感染経路は性行為で、感染した後の期間や経過によってさまざまな症状が出ます。放っておくと脳の神経まで影響を与え死に至ることもあります。
また、妊婦さんが感染すると胎児にも感染し、先天梅毒を発症したり、死産、早産につながることがあります。抗生物質がなかった時代には不治の病と言われており、3ヶ月~3年にわたり再発を繰り返しておりましたが、今はペニシリン系抗菌薬による治療を受ければ完治可能です。
梅毒は治療段階によって治療法が異なります。梅毒は進行すると「一期梅毒」「二期梅毒」「三期梅毒」といった段階に分かれ、それぞれに特徴的な症状が現れますが、ペニシリンが最も効果的な治療法です(ペニシリンにアレルギーがある方ですと、テトラサイクリンやマクロライド系の内服を使用します)。
一期梅毒では、感染から数週間後に初期症状として硬性下疳(こっせいげかん)という痛みのない潰瘍が性器や口、肛門付近に現れます。
二期梅毒は、一次梅毒に続いて2~8週間後に発症し、発疹や粘膜の病変、リンパ節の腫れが特徴的です。この時期の発疹は手掌や足底に出ることが多く、ばら疹と呼ばれこの時期にもしやと考え来院される方が多いです。一期・二期梅毒ではペニシリンを4週間投与することになります。
三期梅毒は数年後に現れ、皮膚や内臓、神経に深刻な損傷を引き起こします。三次梅毒では、ペニシリンを8週間投与します。
それぞれの治療期間が終わった際は、採血により梅毒の値が下がっているかを確認して治癒の判断となります。早期発見と適切な治療により、梅毒は完全に治癒するため、少しでも疑ったならば受診されることをおすすめします。
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症です。一度感染すると、神経節に潜伏し、再発を繰り返すのが特徴です。
症状
初感染時には、水疱や潰瘍、発熱、リンパ節の腫れなどがみられます。再発時には、症状が軽くなったり、症状が出ないこともあります。
治療法
抗ウイルス薬による治療が一般的です。
体内からウイルスを完全に無くすことは困難です。
合併症
新生児への感染、免疫力の低下した人では重症化する可能性があります。
陰部周辺の体毛に寄生しますが、その他、腋窩や足の体毛にも寄生することがあります。性的接触で感染することが多く、まれにタオル等から感染することもあります。激しい痒みにより感染を自覚します。治療はスミスリンというお薬があるほか、剃毛も有効です。気になる症状があればすぐに受診してください。
クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスという細菌による感染症です。多くの場合、自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに感染が広がることがあります。
症状
女性では、不正出血、おりものの増加、下腹部痛などがみられることがあります。男性では、尿道炎や精巣炎を起こすことがあります。
治療法
抗生物質による治療が一般的です。
合併症
放置すると、不妊症や慢性骨盤痛症候群の原因となることがあります。
淋菌感染症は、淋菌という細菌による感染症です。
症状
男性では、尿道から膿が出る、排尿痛、排尿時の灼熱感などがみられます。女性では、おりものの増加、不正出血、下腹部痛などがみられます。
治療法
抗生物質による治療が一般的です。
合併症
放置すると、骨盤内炎症性疾患や不妊症の原因となることがあります。
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