たこや魚のめは、圧迫や摩擦を受ける角質が部分的に増殖した状態で、医学用語では「胼胝(べんち)」や「鶏眼(けいがん)」と呼びます。胼胝(べんち)はある程度広い範囲で盛り上がるたこを指します。対して鶏眼(けいがん)は分厚くなった角質の一部分が芯のようになり、魚の目のように見えるため「魚の目(うおのめ)」と広く一般的に呼ばれるようになりました。ここでは広く知られているたことうおのめに呼び方を統一して解説していきます。

たこ・魚の目・巻き爪
たこ・魚の目・巻き爪
たこや魚のめは、圧迫や摩擦を受ける角質が部分的に増殖した状態で、医学用語では「胼胝(べんち)」や「鶏眼(けいがん)」と呼びます。胼胝(べんち)はある程度広い範囲で盛り上がるたこを指します。対して鶏眼(けいがん)は分厚くなった角質の一部分が芯のようになり、魚の目のように見えるため「魚の目(うおのめ)」と広く一般的に呼ばれるようになりました。ここでは広く知られているたことうおのめに呼び方を統一して解説していきます。
足は全身を支えるため、角質を厚くすることで刺激から足を守ろうとし、たこやうおのめを作ってしまいます。たこは広い範囲で角質が増殖するため、痛みを感じることはほとんどありません。よくペンを持つ学生さんでは「ペンだこ」、正座の多い人には「座りだこ」というようにたこができる場所は足裏に限りません。対してうおのめは先ほど述べたように角質の一部分が芯のようになって皮膚の奥へ向かって伸びるため、歩行時に踏みしめたり軽く当たるだけでも激しい痛みを感じることがあります。靴の中に小石を入れて歩いているようなものですので、痛みを我慢して生活し続けるとひどい場合には骨にまで炎症が及ぶこともあります。時に感染し、蜂窩織炎や骨髄炎を引き起こし、重篤化することもあります。
うおのめとウイルス性いぼである尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)は似ている場合があります。よく見ると小さな黒い斑点があるのが尋常性疣贅です。うおのめと尋常性疣贅では治療法が異なります。また、足の裏に腫瘍ができていたために表面の角質が分厚くなるといったケースもあります。この場合はまず腫瘍を摘出する必要があります。うおのめもたこも日常的によくある疾患ですが、病院できちんと診断してもらうことが大切です。
圧迫や摩擦を避ける
足の特定の場所に圧迫や摩擦が起こらないように歩き方を矯正する、足にあった靴を履くことが大切です。靴の中敷き(インソール)で調整することも有用です。
削る
医療用の剪刀で分厚くなった角質を削ります。
うおのめの芯がとれると、劇的に歩きやすくなることが多いですが周りに炎症がある場合は痛みが引きづらいこともあります。
薬物療法
足の角質を柔らかくする薬を外用します。
巻き爪とは、足の指にある爪の両端の先端部が、大きく内側に湾曲した状態を言います。負担のかかりやすい親指の爪が巻き爪になることが多いのですが、その他の指の爪もなることがあります。
巻き爪が進行すると、肉の部分に曲がった爪がどんどん食い込み、次第に激しい痛みを引き起こすようになります(陥入爪:かんにゅうそう)。
さらに、曲がった爪に巻き込まれた皮膚が化膿してしまい、歩くことが困難になる場合もありますので早めの治療をおすすめします。
また、巻き爪の痛みから足をかばおうと、いつもとは違った歩き方をしてしまうために、足首や膝、腰にも負担がかかり、捻挫や膝痛、腰痛の原因になるケースもあります。
巻き爪は主に「間違った爪切り」「爪への過剰な力」「指に力がかからない状態が長く続くこと」などが原因です。
間違った爪切りで多いのは深爪です。深爪をしていると、足の指に力が加わった際に、爪の先の皮膚が力を受けて盛り上がります。
その結果、爪はまっすぐに伸びることができずに、厚みが増したり、両端が巻いたりしてきます。
爪の両端をわずかでも切り残してしまった場合には、その爪がとげのように皮膚に突き刺さり、痛みや炎症を引き起こす「陥入爪(そう)」の原因になることもあります。その痛みを何とかするため深爪を繰り返すと、症状は悪化してしまうので注意が必要です。
指への過剰な力がかかるのは、「外反母趾(し)がある場合」や「足の形に合わない靴を履いている場合」などです。歩行時、地面からの力が親指に加わるだけでなく、人差し指によって上からも押されるなど、足の指に過剰な力が加わるため、親指の爪がまっすぐ伸びることができず巻き爪になります。
一方、膝が内側に入って歩く癖がある人も、親指に横から過剰な力が加わるため、これも巻き爪につながってしまいます。
「足の指に力を入れずにぺたぺたと歩く癖がある人」や、「寝たきりの人」など、親指に体重がかからない状態が長く続く場合注意が必要です。
本来、爪は丸まっていく性質があります。通常は歩行時に地面からの力が加わることで、爪は平らになりますが、力が加わらない状態が続くと、爪はどんどん巻いていってしまうのです。つま先を外側に向けて歩く癖がある人も、足の指をしっかり地面につけないために、爪への力が十分に加わらず、爪が巻いてしまうことがあります。
皮膚科では、爪の形を矯正して痛みを取り除く治療が行われます。
軽傷の場合、「クリップ法」で爪を平らにしていきます。
重傷の場合には、爪の先端に穴をあけて金属製の細いワイヤーを通す「ワイヤー法」が行われます。どちらの方法も、爪が伸びてくるため1~2ヶ月に1回程度付け替える必要があります。
爪に形状記憶合金ワイヤーを取り付け、ワイヤーが元に戻ろうとする力を利用して巻き爪の食い込みを引き上げる方法です。爪の食い込みによる痛みを軽減しつつ、ワイヤーが日常生活の邪魔にならないようにコーティングして矯正していきます。巻き爪の厚さや状態により違いますが、2~3ヶ月で良くなる人もいれば、半年やそれ以上かかる人もいます。巻き爪の状態に応じた技術と経験が必要な対処法です。
チューブを小さく切り、縦に切れ目を入れたものを爪の側縁に挿入し固定します。挟んだチューブが食い込んでいた爪との緩衝剤となり、数日で痛みや炎症は消失します。特に痛みや炎症が強く、肉芽がある場合にもよい適応となり、これにより肉芽の縮小が期待できます。巻き爪を合併している場合は、同時にマチワイヤを挿入することをお勧めします。
爪が皮膚に食い込むことで、反応性に肉芽組織が出現してしまった症例では、局所麻酔下に炭酸ガスレーザーによる焼灼を行います。レーザーで肉芽を焼灼した後、前述のガター法を施行することで肉芽組織が再度出てくることを防ぎます。自費診療になりますが、陥入爪を早く治したい方におすすめです。
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