帯状疱疹とは

帯状疱疹の原因

水痘・帯状疱疹ウイルスによって発症します。このウイルスに初めて感染すると、2～3週間の潜伏期間を経て、水ぼうそうとなります。水ぼうそうは1週間ほどで治まりますが、神経節に潜伏し生涯消えることはありません。そして、体の免疫力が低下すると再び暴れだし、神経を通って皮膚まで到達し帯状疱疹を引き起こします。

帯状疱疹の検査・診断

特徴的な皮膚の症状と痛みの性状により診断されます。しかし、帯状疱疹と似た病気に単純ヘルペスや接触皮膚炎、水疱症などもあるため、診断を確定させるために、血液検査や、患部の一部を採取して顕微鏡で確認する検査、血液中のウイルス抗体を検出する免疫学的検査を用いる場合もあります。

帯状疱疹の治療

抗ウイルス薬の投与が基本の治療です。重症度に応じて、内服もしくは入院・点滴加療を選択します。

ヘルペスとは

ヘルペスウイルスによる感染症で、皮膚、口、唇、目、性器などに小水疱をきたします。単純ヘルペスの1型は口唇ヘルペスや単純ヘルペス角膜炎、2型は性器ヘルペスの原因になることが多いが、1型・2型ともに体の広範囲に感染することもあります。ヘルペスウイルスは感染すると症状が治まった後も体内に潜み続け、体の抵抗力が落ちると再び暴れ出すため、再発を繰り返します。

ヘルペスの原因

接触により感染したヘルペスウイルスが、神経節に潜伏し、体の抵抗力が落ちたときや、外傷、強い紫外線などに誘発されて再び暴れ出すことで症状が現れます。ヘルペスウイルスの保有率は年齢が高くなるにつれて高くなり、無自覚のままの場合もあります。また、大人になってから初めてヘルペスウイルスに感染すると、症状が重くなりやすいといわれています。

ヘルペスの検査・診断

皮膚の症状から判断できることがほとんどです。帯状疱疹や毛嚢炎などが疑われる場合や、分娩時の母子感染を避けるために確実な診断が必要である場合などは、患部の水ぶくれから採取したサンプルをもとに、免疫学的検査を実施することがあります。さらに、脳への感染が疑われる場合は、MRI検査に加えて、髄液のサンプルを注射針で吸い出す腰椎穿刺を行います。

各種ウィルス感染症

風疹（ふうしん）

風疹は、風疹ウイルスが原因で起こる感染症です。発熱、発疹、リンパ節の腫れなどが主な症状で、特に妊娠中の女性が感染すると、赤ちゃんに先天性の障害が起こる可能性があるため、注意が必要です。

特徴

• 感染力: 咳やくしゃみで感染が広がります。
• 症状: 発熱、発疹、リンパ節の腫れなど。症状は軽い人もいますが、妊婦の場合は胎児に影響が出ることがあります。
• 合併症: 脳炎や血小板減少性紫斑病など、まれに重篤な合併症を起こすことがあります。
• 予防: 風疹ワクチンを接種することで、ほぼ確実に予防できます。

妊娠中の感染の危険性

妊娠初期に風疹に感染すると、赤ちゃんに先天性風疹症候群という先天的な障害が起こる可能性があります。難聴、白内障、心疾患などが代表的な症状です。

麻疹（はしか）

麻疹ウイルスによって引き起こされる全身感染症であり、空気・飛沫（ひまつ）・接触感染経路によって鼻やのどから感染します。通常は10〜12日間の潜伏期を経て発症し、発熱、咳、鼻水、目の充血、赤くかゆみのある発疹などの症状が現れます。一度感染すると免疫は一生持続するとされています。日本では麻疹ワクチンの普及により、麻疹の患者様は減少しています。

水痘（水ぼうそう）

水痘・帯状疱疹ウイルスが咳やくしゃみで飛び散り、それを吸い込んだり（飛沫感染）、水疱が破れて出てきた液に触ったりする（接触感染）ことで起こります。37～38度程度の発熱とともに、赤い小さな発疹・水疱になります。水疱は2～3日でしぼみ、黒褐色のかさぶたになり、1週間程度で治ります。水ぼうそうは治ってもウイルスは長く体の神経節細胞内に留まっているため、何年か後に帯状疱疹（帯状ヘルペス）という病気を発症することもあります。

手足口病

コクサッキーウイルスやエンテロウイルスが原因で起こる病気で、感冒症状の後に手のひら、足のうら、口の中に水疱（水ぶくれ）ができるのが特徴です。生後6ヶ月くらいから4～5歳ころの乳幼児に多く、夏に流行します。感染した子の咳やくしゃみを吸い込んでしまう飛沫感染や便から排泄されたウイルスが手に付着し経口感染することもあります。
潜伏期間は3～5日くらいです。口の中の発疹は盛りあがったり、水をもったりするブツブツで、破れて潰瘍になると、刺激のある物を食べるとしみて痛がるようになります。

口の中の症状に少し遅れて、手のひら、足のうらなどに生米くらいの水疱性の発疹ができます。この発疹は吸収されて一週間以内に治りますが、まれに髄膜炎を合併することがありますので、高熱や頭痛、ひきつけ、嘔吐などの症状が伴う場合は、すぐに受診しましょう。

伝染性紅斑

伝染性紅斑は、ヒトパルボウイルスB19による感染症で、一般的に「リンゴ病」と呼ばれています。主に子どもがかかり、平手打ちをされたかのように頬が赤くなったり、体幹・四肢に網目状の境界が明瞭な発疹が出現します。自然に軽快しますが、妊婦が感染すると胎児に胎児水腫と呼ばれる貧血をきたし重篤化することがあるため注意が必要です。

水いぼ

水いぼは、正式には「伝染性軟属腫」と呼ばれるウイルス性の皮膚感染症です。主に子どもがかかり、皮膚に小さな丸いイボができます。鑷子と呼ばれるピンセットで摘除しますが、痛みが苦手な小さなお子様には麻酔テープを貼付後に取ることで痛みの緩和ができます。

各種細菌感染症

蜂窩織炎（ほうかしきえん）

蜂窩織炎（ほうかしきえん）は、皮下組織や脂肪組織に細菌が感染し、炎症を起こす病気です。一般的には「蜂巣炎」とも呼ばれます。好発部位は両膝より下で、熱感・痛みを伴い腫脹します。治療は抗生物質の投与・安静・冷却・患肢の挙上であり、1週間から10日程度で軽快することがほとんどです。重症化すると敗血症に移行して全身症状を伴うことがありますので適切な治療が必要です。

丹毒

丹毒は、皮膚の浅い部分に細菌（主にレンサ球菌）が感染して起こる炎症の病気です。顔面に好発し、境界明瞭な熱感・痛みを伴う腫脹をきたします。発熱・悪寒やリンパ節腫脹を伴い、再発を繰り返す（習慣性丹毒）ことも多く長めの抗生剤投与が必要となります。

蜂窩織炎との違い

丹毒とよく似た病気として蜂窩織炎がありますが、感染する部位が異なります。

• 丹毒: 皮膚の浅い部分（真皮）に感染
• 蜂窩織炎: 皮膚の深い部分（皮下組織）に感染

ひょう疽

ひょう疽は、爪の周りの皮膚に細菌が感染して起こる炎症の病気です。別名「爪周囲炎」とも呼ばれます。

せつ（おでき）

「せつ」とは、一般的に「おでき」と呼ばれる皮膚の感染症の一種です。毛包（毛が生えている穴）とその周囲の組織に細菌が感染し、炎症を起こした状態を指します。