じんま疹について

じんま疹の原因

何らかの刺激が原因となって現れる刺激誘発型もあれば、はっきりとした理由がなく出現する特発性など、色々なタイプの蕁麻疹があります。日常的に遭遇する蕁麻疹の多くは原因がはっきりしない特発性蕁麻疹です。原因を特定できる刺激誘発型蕁麻疹には、アレルギー性と非アレルギー性（物理性）の2つのタイプがあります。
アレルギー性蕁麻疹の原因としては、食物（魚介類・肉類・卵・乳製品・穀類・野菜・食品添加物など）、薬物（抗菌薬・解熱薬など）、植物、虫刺され（昆虫）などがよく知られています。非アレルギー性（物理性）では、皮膚を掻くなど機械的な摩擦で起こる機械性蕁麻疹、日光にあたることで起こる日光蕁麻疹、入浴・運動・精神的緊張などによる発汗で起こるコリン性蕁麻疹、寒冷や温熱刺激によって起こるものもあります。さらに疲労やストレスが原因になることもあります。

このように刺激誘発型蕁麻疹では様々な原因が知られているものの、実際の診療では色々な検査をしても原因が明らかにならないこともめずらしくありません。一般的にはアレルギーの関与は少ないとも考えられており、原因がわからないままでも薬物治療を開始することは可能です。ひと通りの検査を受けてこれといった原因が見当たらなければ、お薬でつらいかゆみを抑えましょう。

じんま疹の治療

検査によって特定の原因物質や刺激（食物、薬品、物理的刺激など）が分かった場合は、それらを避けて生活するようにします。仕事や勉強などの過度なストレス、不規則な生活を避けることも重要です。
通常の蕁麻疹はヒスタミンという物質が関与しているので、この働きを抑える抗ヒスタミン薬（内服・塗り薬）が中心となります。効果が乏しい場合は抗ヒスタミン薬を増量したり、多剤を併用したりします。それでも効果が不十分な場合は、補助的治療薬と呼ばれる薬剤を追加することもあります。よく用いられているのが、ヒスタミンH2受容体拮抗薬（ガスターなど）や抗ロイコトリエン薬（キプレスなど）です。
症状が改善してきたら内服薬の間隔を徐々にあけて投与量を減らし、最終的には内服をしなくても症状が現われない状態をめざします。

オマリズマブ（ゾレア）による治療

症状を誘発する原因が特定できない慢性蕁麻疹で、抗ヒスタミン薬の増量や補助的治療薬の併用など適切な治療を行っても日常生活に支障が生じるほどのかゆみを伴う膨疹が、くり返し継続的に認められる場合、抗IgE抗体製剤（オマリズマブ｟ゾレア｠）による治療があります。2017年3月に特発性の慢性蕁麻疹治療薬として発売（適応拡大）された薬剤で、IgEを抑えることでヒスタミンの産生を抑制したり、アレルギー症状を抑えたりする効果が認められています。

デュピルマブ（デュピクセント）による治療

アトピー性皮膚炎の治療薬であるデュピクセントは蕁麻疹にも保険適応が追加されました。前述の内服治療の効果がない場合にデュピクセントを追加投与することになります。初回は2筒の注射とし、その後は2週間隔で1筒を注射します。

薬疹について

薬剤によって引き起こされる皮膚の異常反応のことを指します。薬の服用や外用が原因となり、皮膚に発疹、かゆみ、紅斑（水ぶくれを含むこともある）などが現れます。症状は個人によって異なり、軽度の場合もあれば、重篤な反応が生じることもあります。発症のタイミングは薬の服用後数日から数週間後で、通常、薬の種類や服用量、個体差が影響します。薬疹は、抗生物質や抗真菌薬、非ステロイド抗炎症薬など、さまざまな薬剤が原因となる可能性があります。診断は医師による問診や血液検査、皮膚の状態の観察によって行われ、薬の使用中止が基本的な治療法です。場合によっては、抗ヒスタミン薬やステロイド薬が処方されることがあります。

薬疹の原因となる薬物

薬疹は様々な薬で起こる可能性がありますが、特に以下の薬に関連しています

薬疹の治療

まず原因となる薬剤の使用を中止することが最も重要です。薬疹は特定の薬によって引き起こされる皮膚の異常反応で、症状としては発疹やかゆみが現れることがあります。被疑薬がある場合はすぐにその薬の服用を中止し、薬の服用歴や症状の発現時期を医師に伝え、原因を特定してもらうことが重要です。

治療には、抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬を使用することが一般的です。抗ヒスタミン薬はかゆみや発疹などの症状を和らげる効果があり、ステロイド外用薬は炎症を軽減します。重症の場合や内服薬が必要な場合は、経口ステロイドを使うこともあります。また、薬疹が広範囲に及び、発熱や全身症状を伴う重篤な薬疹（例えば、スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死融解症）の場合は、入院とし静脈内ステロイド薬、免疫抑制剤の使用や全身管理が必要となります。

中毒疹について

薬物や化学物質が原因で発生する皮膚の発疹の総称です。多くは薬物の摂取や外用薬の使用後・ウイルス感染・細菌感染後に発症し、免疫反応やアレルギー反応によって皮膚にさまざまな症状が現れます。発疹が主に赤い斑点や丘疹として現れ、かゆみを伴うことがあります。発疹は体全体に広がることもあり、場合によっては手足や顔などに強い反応を示したり、発熱や倦怠感など全身症状が伴うこともあります。

中毒疹の治療

皮膚の炎症を抑えるために、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬が使用されます。症状によっては、ステロイドの内服や免疫抑制剤が処方されることもあります。軽度の場合は経過観察が行われることもありますが、重症の場合は医師による即時対応が必要です。適切な治療が、症状の早期回復を助けます。