2025年11月27日

魚の目とは?正しい理解から始めましょう
足の裏や指に硬くて痛い角質の塊ができて、歩くたびに痛みを感じることはありませんか?それは「魚の目(うおのめ)」かもしれません。
魚の目とは、足裏や足指の骨の突出部分に物理的な力が継続して加わることでできる「中心部に芯がある角質肥厚」のことです。医学的には「鶏眼(けいがん)」と呼ばれ、英語では「corn(穀物の粒)」と表現されます。
特定の一点に繰り返し力が加わると、皮膚は自らを守ろうとして角質を肥厚させます。この肥厚した角質が次第に大きくなり、半透明な硬い芯を形成して皮膚深部に楔状に食い込むのです。その結果、奥の知覚神経が圧迫されて強い痛みが生じます。
魚の目の大きさは様々で、小さいものは2〜3mm程度ですが、大きくなると直径1cm以上になることもあります。大きな魚の目では、芯が10mm以上も皮膚深部に食い込んでいる場合もあるのです。

魚の目とタコの違いは?見分け方を解説
「魚の目」と「タコ(胼胝/べんち)」は似ていますが、重要な違いがあります。
魚の目の最大の特徴は「中心部に硬い芯がある」ことです。この芯が皮膚深部に食い込み、歩くたびに痛みを引き起こします。一方、タコは芯を形成せず、角質が広く一様に肥厚するため、通常は痛みを伴いません。
なぜ同じ原因でも「魚の目」になったり「タコ」になったりするのでしょうか?
その理由は、皮膚の下にある骨の形状や、外力の強さ・頻度、足全体にかかる荷重の分布などの条件によって変わってくると考えられています。実際には、全体にタコがあるものの、一部が魚の目状になっている混合タイプも存在します。
また、足背や指など皮膚の柔らかい部分に外力が継続的に加わると、角質の肥厚だけでなく、真皮組織の繊維化・肥厚も起こります。特に正座による足背の「座りダコ」では、真皮も肥厚して盛り上がることがあります。
見分け方としては、角質の肥厚部分の中央に硬い芯があり、押すと痛みがあれば魚の目、全体が均一に硬くなっていて痛みがなければタコと考えられます。
魚の目の原因と好発部位
魚の目ができる主な原因は、足に合わない靴を履くことや、特定の歩き方のクセによって足の一部に過度の圧力がかかり続けることです。
特に先の狭いデザインの靴やハイヒールなどによる前足部への負担が、足の加重バランスを崩し、一箇所の関節が突出して靴の中で繰り返し擦れることで魚の目が形成されます。
外反母趾やハンマートゥなどの足の変形も、足の裏の圧力分布を不均一にし、魚の目の原因となります。また、加齢により皮膚が薄くなり弾力性が低下することも、魚の目ができやすくなる要因です。
魚の目の好発部位としては、以下の場所が挙げられます:
- 第2、第3足指の付け根(中足骨頭部)
- 親指・小指の外側
- 足指の間(特に第4、第5趾間)
- 足底の踵から指にかけての荷重ライン上
これらの部位は、歩行時に特に圧力がかかりやすい場所です。
なお、お子さんで魚の目ができたと思われる場合は、実はウイルス性イボ(疣贅)であることが多いので注意が必要です。見た目が似ているため、専門医による正確な診断が重要です。
皮膚科での魚の目の診断と治療法
魚の目で皮膚科を受診すると、まず足全体の形状や歩き方に問題がないかを診察します。角質があまり厚くない場合は、靴の変更や歩き方の改善だけでも症状が軽減することがあります。
しかし、角質が楔型に厚く食い込んでいる場合は、その芯を除去する必要があります。皮膚科での一般的な治療法としては、以下のようなものがあります:
1. 角質除去(削り取り)
最も一般的な治療法です。皮膚科医がカミソリやメス、コーンカッターなどの専用器具を使って、肥厚した角質と芯を慎重に削り取ります。この処置はほとんど痛みを伴わず、保険診療で月に2回まで受けることができます。
魚の目の芯を完全に除去することで、即座に痛みが軽減します。しかし、原因となる圧力が続くと1〜2ヶ月で再発することがあります。
2. 薬物療法
サリチル酸を含むスピール膏などの貼り薬を使用して、角質を軟化させてから除去する方法です。自宅でも継続できる治療法ですが、深い芯のある魚の目では効果が限定的なことがあります。
皮膚科では尿素軟膏なども処方されることがあり、角質の軟化・除去を促進します。
当院では魚の目治療を希望される方には、スピール膏などの角質軟化剤を貼らずにご来院いただくことをお勧めしています。軟化剤を貼った直後は芯を完全に除去することが難しくなるためです。
3. 外科的治療
非常に深い魚の目や、保存的治療で改善しない場合には、局所麻酔下で外科的に切除することもあります。ただし、この方法は傷跡が残る可能性があり、一般的には最後の選択肢となります。
どうしても痛みが強い場合や、歩行に支障をきたす場合には、整形外科の受診をお勧めすることもあります。足の骨に原因がある場合、整形外科的なアプローチが必要になることがあるためです。
自宅でできる魚の目のケアと市販薬
皮膚科を受診する前に、自宅でもいくつかのケアや市販薬を試すことができます。ただし、自己処理には限界があり、深い芯のある魚の目では専門医の治療が必要になることを覚えておきましょう。
市販薬によるケア
- スピール膏・イボコロリなど(サリチル酸製剤):角質を軟化させ、剥がれやすくする効果があります。魚の目の大きさに合わせて切り、指示通りに貼付します。ただし、健康な皮膚に付着すると炎症を起こすことがあるので注意が必要です。
- ケラチナミンなどの尿素軟膏:角質を軟らかくする効果があります。特に芯が浅い軽度の魚の目に効果的です。
- 抗菌剤(化膿した場合):魚の目が化膿した場合には、抗菌作用のある市販薬を使用することもあります。
自宅でのケア方法
入浴後など皮膚が柔らかくなっているときに、以下のようなケアを行うと効果的です:
- 足を十分に洗い、清潔にします。
- 足を温かいお湯に10〜15分浸して、角質を柔らかくします。
- 軽石やフットファイルで、優しく角質を削ります(強くこすりすぎないよう注意)。
- 保湿クリームを塗って、皮膚の乾燥を防ぎます。
魚の目の再発を防ぐための対策
魚の目は適切に芯まで除去しても、原因となる圧力や摩擦が続くと必ず再発します。長期的な解決には、再発予防の対策が不可欠です。
正しい靴選びのポイント
魚の目の再発予防で最も重要なのが、足に合った靴を選ぶことです。以下のポイントに注意しましょう:
- かかとと足の甲がフィットしていること
- 足底のアーチをしっかり支えられるもの
- 足先に余裕があり、指を自由に動かせるもの
- 幅が足に合っているもの
- ハイヒールや先の尖った靴は避ける
足のサイズは一日の中でも変化し、午後には少し大きくなることがあります。靴を購入する際は、できるだけ午後に試着するのがおすすめです。
靴の履き方の基本
正しい靴選びと同様に、靴の履き方も重要です。
靴紐やベルトはしっかり締めて、足が靴の中で滑らないようにしましょう。足が前に滑ると、指先に過度の圧力がかかり、魚の目ができやすくなります。
また、長時間同じ靴を履き続けるのではなく、複数の靴を日替わりで履くことも効果的です。これにより、足の同じ部位に継続的な圧力がかかることを防げます。
保護グッズの活用
魚の目ができやすい部位を保護するグッズも有効です:
- ドーナツ型のクッションパッド(魚の目の周囲を保護し、中央部の圧力を軽減)
- シリコン製の指間パッド(指の間の摩擦を防止)
- ジェルクッションインソール(足裏全体の圧力を分散)
- メタターサルパッド(前足部の圧力分散に効果的)
これらのグッズは薬局やインターネットで購入できます。自分の足の状態や魚の目のできる部位に合ったものを選びましょう。
魚の目の再発に悩んでいる方は、一度皮膚科専門医に相談することをお勧めします。足の形状や歩き方のクセを評価し、最適な予防法をアドバイスすることができます。

魚の目と間違えやすい疾患
足に硬いものができた時、すぐに「魚の目だ」と思い込んでしまうことがありますが、実は別の疾患であることも少なくありません。特に注意すべき鑑別疾患をご紹介します。
ウイルス性イボ(疣贅)
魚の目と最も間違えやすいのがウイルス性のイボです。特に子どもの足に発生したものの多くは、実はイボであることが多いのです。
イボの特徴は、中央に小さな黒い点(血管の点状出血)が見られることが多く、表面がガサガサしていることです。また、イボは圧迫すると痛みを感じることがありますが、魚の目ほど鋭い痛みではありません。
イボはヒトパピローマウイルスの感染によって生じるため、治療法も魚の目とは異なります。誤った自己処理をすると悪化することもあるので、正確な診断が重要です。
悪性黒色腫(メラノーマ)
足の裏にできた色素性の病変を魚の目と勘違いすることがあります。悪性黒色腫は皮膚がんの一種で、早期発見・早期治療が非常に重要です。
色が不均一、境界が不明瞭、大きさが変化するなどの特徴があれば、すぐに皮膚科を受診してください。
有棘細胞癌
長期間治らない「魚の目」と思われる病変が、実は有棘細胞癌という皮膚がんであることもあります。特に高齢者で、長期間かけて徐々に大きくなる病変は注意が必要です。
このような理由から、自己判断で長期間治療を続けるのではなく、一度皮膚科専門医の診断を受けることをお勧めします。
まとめ:魚の目の正しい対処法
魚の目は適切な治療と予防策で、痛みから解放され快適な歩行を取り戻すことができます。ここまでの内容をまとめると:
- 魚の目は足の特定部位に継続的な圧力がかかることで生じる、中心に芯のある角質肥厚です
- タコとの違いは、魚の目には中心に硬い芯があり、痛みを伴うことです
- 皮膚科での治療は主に角質除去(削り取り)が行われ、即座に痛みが軽減します
- 自宅でのケアには市販のサリチル酸製剤や尿素軟膏が使用できますが、深い芯には専門医の治療が必要です
- 再発予防には足に合った靴の選択、保護グッズの活用が重要です
- 魚の目と似た症状を示す他の疾患もあるため、正確な診断が重要です
魚の目でお悩みの方は、まずは専門医による正確な診断を受けることをお勧めします。特に痛みが強い場合や、自己処理で改善しない場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
当院では魚の目の治療から再発予防まで、患者さん一人ひとりの足の状態に合わせた総合的なアプローチを行っています。足の痛みでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
詳しい情報や診療時間については、駒沢自由通り皮膚科の公式サイトをご覧ください。皮膚科専門医が丁寧に対応いたします。

監修:白石 英馨(しらいし ひでか)
駒沢自由通り皮膚科 院長・日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
東京慈恵会医科大学医学部卒業後、同大学附属病院や関連病院にて皮膚科診療に従事。アトピー性皮膚炎やニキビといった一般皮膚疾患から、ホクロ・イボの外科的治療、美容皮膚科領域まで幅広く経験を積む。
2025年3月、世田谷・駒沢に「駒沢自由通り皮膚科」を開院。小さなお子さまからご高齢の方まで、地域に根ざした“かかりつけ皮膚科”として丁寧でわかりやすい診療を心がけている。
- 所属学会:日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会 ほか
- 専門分野:皮膚科一般、小児皮膚科、美容皮膚科、日帰り皮膚外科手術