2025年11月27日

巻き爪の基本と治療が必要なタイミング
巻き爪は爪の両端が内側に巻き込み、皮膚に食い込んで痛みや炎症を引き起こす状態です。軽度のものから歩行困難になるほど重症なものまで症状は様々です。
多くの患者さんは「痛みが出てから」来院されますが、実は爪の変形を感じた初期段階での治療開始が理想的です。爪の両端が皮膚に食い込み始め、赤みや腫れが出てきたら、早めに専門医への相談をおすすめします。
特に以下のような症状がある場合は、早急に治療を検討すべきです。
- 歩行時に強い痛みがある
- 爪周囲に膿がたまっている
- 爪周囲の皮膚が赤く腫れている
- 自己処置を繰り返しても改善しない
糖尿病や末梢血管障害をお持ちの方は、小さな傷から重篤な感染症に発展するリスクがあるため、症状が軽いうちに専門医の診察を受けることが非常に重要です。

巻き爪治療の種類と特徴
巻き爪の治療法は多岐にわたります。症状の程度や患者さんの生活スタイルに合わせて最適な方法を選択することが大切です。
現在、臨床現場で用いられている主な治療法をご紹介します。それぞれの特徴を理解し、ご自身に合った治療法を見つける参考にしてください。
保存的治療(非外科的アプローチ)
軽度から中等度の巻き爪に対しては、まず保存的治療が検討されます。これらは体への負担が少なく、日常生活への影響も最小限に抑えられる方法です。
- ワイヤー矯正法:爪の両端に超弾性合金ワイヤーを装着して爪の彎曲を矯正します。「巻き爪マイスター」などの製品があります。
- プレート矯正法:透明な樹脂製プレートを爪に貼り付けて矯正します。「ペディグラス」などが代表的です。
- ガター法:爪の側面にプラスチックのチューブを挿入し、爪が皮膚に食い込むのを防ぎます。
保存的治療は痛みが少なく、施術後すぐに日常生活に戻れるというメリットがあります。特にプレート矯正は透明で目立たず、施術直後から痛みが軽減することが多いです。
外科的治療(手術による対応)
重度の巻き爪や、保存的治療で改善しない場合は外科的治療が検討されます。
- 部分爪切除術:食い込んでいる爪の一部を切除する方法です。
- フェノール法:爪の一部を切除した後、フェノールを塗布して爪母を破壊し、その部分の爪が再生しないようにします。
- 爪母切除術:爪の生える元となる爪母の一部を外科的に切除します。
外科的治療は根本的な解決が期待できますが、術後の痛みや回復期間を考慮する必要があります。特に糖尿病患者さんなど、傷の治りが遅い方は慎重に検討すべきでしょう。
炭酸ガスレーザー焼灼:局所麻酔下に炭酸ガスレーザーで肉芽組織を焼灼します。爪の食い込みがなくなるので痛みが消退します。また、肉芽組織がなくなった状態でガターを入れることもあります。
治療法の選び方と費用について
巻き爪治療を選ぶ際は、症状の程度、生活スタイル、費用などを総合的に考慮することが重要です。ここでは治療法選択のポイントと費用面について解説します。
症状の程度による選択基準
巻き爪の症状は大きく3段階に分けられます。それぞれの段階に適した治療法があります。
- 軽度:爪が少し巻いているが痛みは軽微→プレート矯正が適しています
- 中等度:爪が皮膚に食い込み、痛みや炎症がある→ワイヤー矯正やプレート矯正が効果的
- 重度:強い痛みや感染を伴う→外科的治療が必要になることが多い
生活スタイルも重要な選択要素です。スポーツや立ち仕事が多い方は、施術後すぐに活動できるプレート矯正やワイヤー矯正が向いています。一方、根本的な解決を望む場合は、一時的に活動が制限されても外科的治療を選択することも検討すべきでしょう。
治療費用の目安
巻き爪治療の多くは保険適用外の自費診療となります。各治療法の一般的な費用目安は以下の通りです。
- ワイヤー矯正:1回の施術で8,000円~15,000円程度
- プレート矯正(ペディグラス):1回の施術で8,000円~16,000円程度
- 外科的治療:症状により異なりますが、10,000円~30,000円程度
ただし、陥入爪として炎症や感染を伴う場合は保険適用となることもあります。詳細は受診時に医師にご相談ください。
各治療法の回復期間と経過
巻き爪治療後の回復期間は治療法によって大きく異なります。適切な治療法を選ぶためにも、回復期間の目安を知っておくことが重要です。
保存的治療後の経過
ワイヤー矯正やプレート矯正などの保存的治療は、施術直後から日常生活に戻ることができます。痛みの軽減も比較的早く、多くの患者さんは施術直後から痛みが和らぐと感じています。
- 即時効果:施術直後に53%の方が痛みの軽減を実感
- 短期効果:3週間以内に94%の方が痛みの軽減を実感
- 完全回復:爪の完全な矯正には通常3~6ヶ月程度が必要
ただし、爪の成長に合わせて定期的な装置の調整や交換が必要です。一般的には数週間に一度の頻度で通院することになります。
外科的治療後の経過
外科的治療は即効性がある一方で、回復には一定の期間が必要です。
- 術後1~2日:安静にして患部を清潔に保つ必要があります
- 術後3~7日:腫れや痛みが徐々に軽減していきます
- 術後1~2週間:通常の歩行が可能になることが多いです
- 完全回復:爪の再生を含めた完全回復には1~3ヶ月かかることがあります
フェノール法などを用いた場合、術後の浸出液が1~2週間続くことがあります。この間は定期的な消毒と包帯交換が必要です。

治療後のケアと再発防止
巻き爪治療は一度で終わりではありません。再発を防ぐためには適切なアフターケアが欠かせません。日常生活での注意点と専門的なケアについてご説明します。
日常生活での注意点
巻き爪の再発を防ぐためには、日々の生活習慣の見直しが重要です。特に以下の点に注意しましょう。
- 適切な爪の切り方:爪は真っ直ぐに、角を残して切りましょう
- 靴の選び方:つま先に余裕がある、足に合った靴を選びましょう
- 足の清潔:毎日足を洗い、清潔を保つことで感染リスクを減らせます
- 定期的なフットケア:角質ケアや爪のチェックを定期的に行いましょう
特に爪の切り方は再発防止の鍵となります。深爪は避け、爪の先端が指先の肉を超えるくらいの長さを保つことが理想的です。
専門的なアフターケア
治療後も定期的な専門家によるチェックを受けることで、再発の早期発見・対応が可能になります。
- 定期検診:治療後3~6ヶ月は定期的な検診を受けましょう
- 予防的ケア:爪の状態に応じて予防的な処置を行うことがあります
- セルフケア指導:専門家から適切なセルフケア方法を学びましょう
当院では治療と並行して再発防止プログラムを提供しています。靴の選び方や爪の切り方、歩き方の指導を行い、再発防止を徹底サポートします。
巻き爪治療の選択肢と専門医の役割
巻き爪治療は一人ひとりの症状や生活環境に合わせたオーダーメイドの対応が必要です。そこで専門医の役割が重要になります。
皮膚科専門医は、単に治療を提供するだけでなく、患者さんの生活スタイルや将来的な再発リスクも考慮した総合的な治療計画を立てることができます。
専門医による適切な診断の重要性
巻き爪と一言で言っても、その原因や状態は様々です。専門医による適切な診断があってこそ、最適な治療法の選択が可能になります。
- 爪の状態評価:爪の彎曲度や肥厚の程度、周囲組織の状態を評価
- 原因の特定:不適切な爪切り、靴の問題、外傷など原因を特定
- 合併症のチェック:感染や肉芽腫の有無を確認
- 全身状態の考慮:糖尿病など治療に影響する基礎疾患の確認
これらの総合的な評価に基づき、一人ひとりに最適な治療計画を立てることが可能になります。
まとめ:あなたに合った巻き爪治療を見つけるために
巻き爪治療は一度きりではなく、継続的なケアと再発防止が重要です。治療法の選択にあたっては、短期的な痛みの緩和だけでなく、長期的な視点で考えることをおすすめします。
当院では患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療プランをご提案しています。巻き爪でお悩みの方は、まずは専門医による適切な診断を受けることから始めましょう。
巻き爪は早期の対応が重要です。違和感や痛みを感じたら、我慢せずに専門医にご相談ください。適切な治療と継続的なケアで、快適な歩行と健やかな足の健康を取り戻しましょう。
詳しい診療内容や予約については、駒沢自由通り皮膚科までお気軽にお問い合わせください。皮膚科専門医が丁寧に対応いたします。

監修:白石 英馨(しらいし ひでか)
駒沢自由通り皮膚科 院長・日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
東京慈恵会医科大学医学部卒業後、同大学附属病院や関連病院にて皮膚科診療に従事。アトピー性皮膚炎やニキビといった一般皮膚疾患から、ホクロ・イボの外科的治療、美容皮膚科領域まで幅広く経験を積む。
2025年3月、世田谷・駒沢に「駒沢自由通り皮膚科」を開院。小さなお子さまからご高齢の方まで、地域に根ざした“かかりつけ皮膚科”として丁寧でわかりやすい診療を心がけている。
- 所属学会:日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会 ほか
- 専門分野:皮膚科一般、小児皮膚科、美容皮膚科、日帰り皮膚外科手術