2025年9月25日

ホクロ除去とは?医学的観点から解説
ホクロは医学的には「色素性母斑」と呼ばれ、メラニン色素を作る細胞(メラノサイト)が集まってできた良性の腫瘍です。多くの方が持つ一般的なものですが、見た目や位置によって気になることもあるでしょう。
ホクロ除去は、美容目的や健康上の理由から行われる医療処置です。特に顔や目立つ部位にあるホクロは、コンプレックスの原因になることもあります。
皮膚科専門医として長年診療を行ってきた経験から、ホクロ除去について正しい知識をお伝えしたいと思います。1
「ホクロを取りたいけど、跡が残るのではないか」「痛みはどうなのか」など、不安に思われる方も多いでしょう。
実は、ホクロ除去の方法は一つではありません。ホクロの大きさや深さ、位置によって最適な除去方法が異なります。そして、適切な方法で処置すれば、目立つ跡を残さずにホクロを除去することも可能なのです。

ホクロ除去の主な方法とそれぞれの特徴
ホクロ除去には複数の方法があります。それぞれに特徴があり、ホクロの状態や部位によって最適な方法が異なります。ここでは主な除去方法について詳しく解説します。
切除法(メスによる切除)
切除法は、メスを使ってホクロを完全に切り取る方法です。局所麻酔をして痛みを抑えながら行います。この方法は、大きなホクロや深いホクロに適しています。
切除後は縫合を行うため、小さな線状の傷跡が残ることがありますが、時間の経過とともに目立たなくなっていきます。また、切除したホクロは病理検査に出すことができるため、万が一の悪性所見の有無を確認できる利点もあります。
私が虎の門病院で研鑽を積んだ際に学んだのは、どのように切除すれば傷跡を最小限に抑えられるかという技術です。切除の方向や縫合の方法によって、治癒後の見た目は大きく変わります。
電気メス・電気凝固法
電気メスは、高周波の電流を流して熱を発生させ、ホクロを焼き切る方法です。小さな盛り上がったホクロに適しています。局所麻酔を行うため、痛みはほとんど感じません。
傷跡は比較的小さく、短時間で処置が完了するメリットがあります。ただし、深いホクロには不向きで、完全に除去できないこともあります。
炭酸ガスレーザー治療
炭酸ガスレーザーは、水分に吸収されやすい特性を持つレーザーで、ホクロの組織を蒸散させる方法です。小さく平らなホクロに適しています。
処置時間が短く、傷跡も比較的目立ちにくいのが特徴です。ただし、深いホクロには複数回の治療が必要になることがあります。
「どの方法が自分のホクロに適しているのだろう?」
この疑問は多くの患者さんが持たれるものです。実際には、ホクロの状態を専門医が診察した上で、最適な方法を提案させていただきます。駒沢自由通り皮膚科では、患者さんのご希望も伺いながら、ホクロの状態に合わせた最適な除去方法をご提案しています。
ホクロ除去の流れと施術後の注意点
ホクロ除去を検討されている方にとって、施術の流れや術後の過ごし方を知ることは重要です。ここでは、当院での一般的な施術の流れと、術後に気をつけるべきポイントについてお伝えします。
施術前のカウンセリングと診察
まず初めに、ホクロの状態を詳しく診察します。大きさ、形、色、盛り上がりの有無などを確認し、悪性の可能性がないかも慎重に判断します。
その上で、患者さんのご希望をお聞きします。「完全に除去したい」「傷跡を最小限にしたい」など、目指すゴールは人それぞれです。患者さんの要望と医学的見地から最適な除去方法をご提案します。
当院では、患者さんと同じ目線に立ち、丁寧な説明を心がけています。不安や疑問点があれば、遠慮なくお尋ねください。
施術当日の流れ
施術当日は、まず施術部位を消毒します。その後、局所麻酔を行い、痛みを感じないようにしてから処置を開始します。麻酔の注射は少し痛みを感じることがありますが、すぐに麻酔が効いてきます。
処置時間は、ホクロの大きさや除去方法によって異なりますが、多くの場合5〜30分程度で終了します。処置後は、必要に応じて抗生剤の内服薬や塗り薬を処方します。
施術後の注意点と経過
施術後は、傷口を清潔に保つことが最も重要です。処方された薬をしっかり使用し、医師の指示に従ってケアを行いましょう。
施術直後から数日間は、軽い痛みや腫れが生じることがありますが、徐々に落ち着いていきます。傷口が完全に治るまでの期間は、除去方法やホクロの大きさによって異なりますが、一般的には1〜2週間程度です。
特に気をつけていただきたいのは、以下の点です:
- 処置後24時間は激しい運動を避ける
- シャワーは医師の指示に従う(多くの場合、当日または翌日から可能)
- 傷口を強くこすらない
- かさぶたは自然に剥がれるのを待つ
- 直射日光を避け、日焼け止めを使用する
傷跡のケアも重要です。当院では、傷跡を最小限に抑えるためのアフターケア指導も行っています。
「施術後の経過が心配」という方も安心してください。何か異常を感じた場合はすぐにご連絡いただければ対応いたします。

ホクロ除去の費用と保険適用について
ホクロ除去を検討する際に気になるのが費用の問題です。ホクロ除去は美容目的と医療目的で保険適用の可否が分かれるため、正しく理解しておくことが大切です。
保険適用となるケース
ホクロが以下のような状態の場合、保険適用となる可能性があります:
- ホクロが悪性または悪性化の疑いがある場合
- 衣服や装飾品などで常に刺激を受け、炎症を起こしている場合
- 出血や痛みなどの症状がある場合
- 急に大きくなった、色が変わったなどの変化がある場合
保険適用となる場合、3割負担で数千円程度の費用で施術を受けることができます。ただし、保険適用の判断は医師が行いますので、自己判断せずに一度ご相談ください。
自由診療(保険適用外)の場合の費用
美容目的でのホクロ除去は自由診療となります。費用はホクロの大きさや数、除去方法によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです:
- 小さなホクロ(3mm未満):1個あたり5,000円〜10,000円程度
- 中程度のホクロ(3mm〜6mm):1個あたり10,000円〜20,000円程度
- 大きなホクロ(6mm以上):1個あたり20,000円〜30,000円以上
当院では患者さんのご要望に合わせた最適な治療法をご提案し、明確な料金設定でご案内しています。詳細な料金については、カウンセリング時にご説明いたします。
「保険が適用されるかどうか、自分では判断が難しい…」
このようなお悩みをお持ちの方は少なくありません。当院では初診時にしっかりと診察を行い、保険適用の可否を含めた最適な治療プランをご提案しています。
ホクロ除去を検討すべきケースと注意が必要なホクロの特徴
ホクロは多くの場合良性ですが、中には注意が必要なものもあります。ここでは、ホクロ除去を積極的に検討すべきケースと、皮膚科を受診した方が良いホクロの特徴について解説します。
医学的に除去を検討すべきホクロの特徴
以下のような特徴を持つホクロは、悪性の可能性を考慮して皮膚科専門医に相談することをお勧めします:
- 急に大きくなったり、形が変わったりしたホクロ
- 色むらがあるホクロ(黒、茶、赤、青など複数の色が混在)
- 境界が不規則で、はっきりしないホクロ
- 直径が6mm以上の大きなホクロ
- 出血や痛み、かゆみなどの症状があるホクロ
- 潰瘍化(ただれ)しているホクロ
これらの特徴は、国際的に用いられているABCDEルールに基づいています。A(非対称性)、B(境界不整)、C(色の多様性)、D(直径6mm以上)、E(変化)の頭文字をとったものです。
かゆみのあるホクロについては特に注意が必要です。多くの場合は乾燥や外部刺激が原因ですが、メラノーマ(悪性黒色腫)の初期症状としてかゆみが現れることもあります。
美容的な理由でホクロ除去を検討するケース
医学的に問題がなくても、以下のような理由でホクロ除去を希望される方も多くいらっしゃいます:
- 顔や目立つ部位にあり、美容上の悩みとなっている
- 衣服や装飾品で擦れて不快感がある
- 髭剃りなどの日常生活で邪魔になる
- 心理的なストレスになっている
美容目的でのホクロ除去も、専門医による適切な処置で安全に行うことができます。ただし、自己流での除去は感染や傷跡のリスクがあるため、絶対に避けてください。
「このホクロ、気になるけど受診した方がいいのかな?」
少しでも気になるホクロがあれば、専門医に相談することをお勧めします。当院では、患者さんのホクロを丁寧に診察し、除去の必要性や最適な方法をアドバイスしています。
駒沢自由通り皮膚科でのホクロ除去の特徴
当院では、皮膚科専門医としての豊富な経験と高い技術力を活かし、患者さん一人ひとりに最適なホクロ除去を提供しています。ここでは、当院のホクロ除去の特徴についてご紹介します。
皮膚科専門医による丁寧な診察と治療
私は日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医として、虎の門病院で多くの皮膚腫瘍の切除手術を経験してきました。その経験を活かし、ホクロの状態を正確に診断し、最適な除去方法をご提案します。
特に、傷跡を最小限に抑える切除・縫合技術には自信を持っています。ホクロの位置や大きさ、患者さんのご希望に合わせて、最も適した方法で処置を行います。
患者さんの要望に合わせた治療法の選択
当院では、患者さんのご要望をしっかりとお聞きした上で治療法を決定します。例えば、「完全に除去したい」「傷跡を最小限にしたい」「痛みをなるべく抑えたい」など、患者さんによって優先したいポイントは異なります。
カウンセリングでは、各治療法のメリット・デメリットを丁寧に説明し、患者さんが納得した上で治療を進めています。一つの方法にこだわらず、複数の治療選択肢をご提示できることも当院の強みです。
アフターケアの充実
ホクロ除去後のケアも重要です。当院では施術後の経過観察をしっかり行い、傷跡を最小限に抑えるためのアドバイスも提供しています。
万が一、術後に気になる症状があれば、すぐにご相談いただける体制を整えています。患者さんが安心して治療を受けられるよう、サポート体制を充実させています。
駒沢自由通り皮膚科は2025年3月に開院したばかりの新しいクリニックですが、皮膚科専門医としての長年の経験を活かし、地域の皆様の皮膚の健康をサポートしています。
「ホクロのことで悩んでいる」「気になるホクロがある」という方は、お気軽に当院にご相談ください。患者さんの気持ちに寄り添った丁寧な診療を心がけています。
まとめ:ホクロ除去で大切なこと
ホクロ除去について、医学的な観点から重要なポイントをお伝えしてきました。最後に、ホクロ除去を検討されている方に知っておいていただきたいことをまとめます。
専門医による適切な診断と治療が重要
ホクロの中には、悪性のものや悪性化する可能性のあるものも存在します。自己判断での除去は危険ですので、必ず皮膚科専門医の診察を受けてください。
専門医は、ホクロの状態を正確に診断し、必要に応じて病理検査も行います。また、ホクロの特徴に合わせた最適な除去方法を選択できるのも専門医ならではの強みです。
ホクロの特徴に合わせた除去方法の選択
ホクロ除去には複数の方法があり、それぞれに特徴があります。ホクロの大きさ、深さ、位置などによって最適な方法が異なりますので、専門医のアドバイスを参考にしてください。
また、美容的な観点からは、傷跡を最小限に抑える技術も重要です。経験豊富な医師による処置で、満足度の高い結果を得ることができます。
適切なアフターケアで傷跡を最小限に
ホクロ除去後のケアも、結果に大きく影響します。医師の指示に従って適切なケアを行い、傷跡を最小限に抑えましょう。特に、紫外線対策は重要です。
当院では、ホクロ除去からアフターケアまで一貫したサポートを提供しています。ホクロでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
駒沢自由通り皮膚科は、駒澤大学駅から徒歩2分の場所にあり、皮膚科専門医による質の高い医療を提供しています。ホクロ除去をはじめ、様々な皮膚のお悩みに対応していますので、お気軽にご来院ください。
詳細は駒沢自由通り皮膚科の公式サイトをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。皆様の皮膚の健康と美しさをサポートいたします。

監修:白石 英馨(しらいし ひでか)
駒沢自由通り皮膚科 院長・日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
東京慈恵会医科大学医学部卒業後、同大学附属病院や関連病院にて皮膚科診療に従事。アトピー性皮膚炎やニキビといった一般皮膚疾患から、ホクロ・イボの外科的治療、美容皮膚科領域まで幅広く経験を積む。
2025年3月、世田谷・駒沢に「駒沢自由通り皮膚科」を開院。小さなお子さまからご高齢の方まで、地域に根ざした“かかりつけ皮膚科”として丁寧でわかりやすい診療を心がけている。
- 所属学会:日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会 ほか
- 専門分野:皮膚科一般、小児皮膚科、美容皮膚科、日帰り皮膚外科手術