2025年8月29日
夏の強い日差しを浴びた後、肌がヒリヒリと痛んだり、赤くなったりした経験はありませんか?日焼けは実は軽度の火傷と同じ状態なのです。紫外線によって肌の細胞がダメージを受け、炎症を起こしている証拠です。
日焼けには主に2種類あります。UVB(紫外線B波)による赤みや痛みを伴う急性の炎症と、UVA(紫外線A波)によるメラニン生成を促す褐色化です。どちらも適切なケアをしないと、シミやシワなどの肌トラブルの原因になります。

日焼け直後のケアが適切かどうかで、その後の肌の回復度合いが大きく変わってきます。特に夏場は「少し赤くなっただけだから大丈夫」と放置してしまい、後になって色素沈着やシミに悩む患者さんが非常に多いのです。
日焼け後すぐにやるべき応急処置
日焼けに気づいたら、まず最初にやるべきことは「冷やす」ことです。これは火傷の応急処置と同じ理由からです。
肌の炎症を抑えるために、できるだけ早く冷たいタオルや保冷剤で日焼けした部位を冷やしましょう。ただし、保冷剤を直接肌に当てると凍傷の危険があるので、タオルなどで包んでから使用してください。冷やす時間の目安は15〜30分程度です。

日焼けした当日のお風呂やシャワーは要注意です。熱いお湯は炎症を悪化させるので避け、ぬるま湯で優しく体を洗いましょう。強くこすったり、熱いお湯に長時間浸かったりすることも避けましょう。
また、日焼けした肌は通常よりも敏感になっています。刺激の強い化粧品や、アルコール・メントール配合の化粧水などは一時的に使用を控えましょう。肌に刺激を与えるものは、炎症をさらに悪化させる可能性があります。
もし日焼けの症状が強く、広範囲に水ぶくれができたり、痛みが強かったりする場合は、自己判断せずに皮膚科を受診することをお勧めします。重度の日焼けは適切な医療処置が必要な場合があります。
日焼け後の肌回復に効果的なスキンケア方法
日焼けした肌の回復には、適切なスキンケアが欠かせません。まずは「保湿」を徹底することが最も重要です。
日焼けにより肌のバリア機能が低下すると、水分が蒸発しやすくなります。そのため、低刺激の化粧水でしっかりと水分を補給し、乳液やクリームでフタをして水分の蒸発を防ぎましょう。
化粧水選びのポイント
日焼け後の肌には、刺激の少ない化粧水を選ぶことが大切です。アルコールフリーで、ヒアルロン酸やグリセリンなどの保湿成分が配合されたものがおすすめです。
化粧水は冷蔵庫で冷やしておくと、クーリング効果で肌の炎症を抑える助けになります。ただし、あまりに冷たすぎると刺激になることもあるので、程よい冷たさを心がけましょう。
化粧水をつける際は、パッティングではなく、やさしく手のひらで押し当てるようにして浸透させます。炎症を起こしている肌をこすると、さらに刺激を与えることになるので注意が必要です。
美容液・乳液・クリームの使い方
化粧水の後は、肌の状態に合わせて美容液や乳液、クリームを使用します。日焼け後の肌には、ビタミンC誘導体、ビタミンE誘導体などの抗酸化成分が配合された製品が効果的です。
特に就寝前のケアは重要です。睡眠中は肌の修復機能が高まる時間帯なので、たっぷりと保湿成分を与えておくことで、翌朝の肌の状態が大きく変わります。
どうですか?スキンケアの手順は意外と簡単ですよね。でも、この基本的なケアを毎日続けることが、日焼け後の肌回復には何より大切なのです。
日焼け後のシミ・色素沈着を防ぐ対策
日焼け後に最も気になるのが、シミや色素沈着ではないでしょうか。これらは日焼けによって過剰に生成されたメラニンが肌に沈着することで起こります。
メラニンは本来、紫外線から肌を守るために生成される色素ですが、過剰に生成されると排出が追いつかず、肌に残ってシミになってしまうのです。
美白成分の活用方法
日焼け後のシミ対策には、メラニンの生成を抑える「美白成分」が効果的です。代表的な美白成分には、ビタミンC誘導体、トラネキサム酸、アルブチン、コウジ酸などがあります。
ただし、美白成分は日焼け直後の炎症が強い時期には刺激になることがあります。赤みやヒリヒリ感が落ち着いてから使用するようにしましょう。通常は日焼け後2〜3日経ってから導入するのが良いでしょう。
美白ケアは継続が大切です。一時的に使用しただけでは効果は限定的なので、少なくとも2〜3ヶ月は続けることをお勧めします。
ビタミンCの効果的な摂取法
美白ケアには、外からのスキンケアだけでなく、内側からのケアも重要です。特にビタミンCは、メラニンの生成を抑制する効果があるため、積極的に摂取したい栄養素です。
ビタミンCは熱に弱く水溶性のため、調理の際に失われやすい性質があります。生野菜や果物から摂取するのが最も効率的です。特にレモンやオレンジなどの柑橘類、キウイ、イチゴ、ブロッコリーなどにはビタミンCが豊富に含まれています。
また、サプリメントでビタミンCを補給するのも一つの方法です。ただし、過剰摂取は胃腸障害などの副作用を引き起こす可能性があるため、適切な量を守りましょう。
日焼け後の肌トラブルへの対処法
日焼け後には、様々な肌トラブルが発生することがあります。それぞれの症状に合わせた適切な対処法を知っておくことが大切です。
赤みや痛みが強い場合
日焼けによる赤みや痛みが強い場合は、まず冷却することが最優先です。冷たいシャワーを短時間浴びるか、冷たいタオルで冷やしましょう。市販の日焼け後用ジェルやローションも効果的です。
痛みが強く、日常生活に支障がある場合は、医療機関を受診しましょう。ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の処方が必要な場合があります。
水ぶくれができた場合
水ぶくれができた部分は清潔に保ち、刺激を与えないようにしましょう。大きな水ぶくれや広範囲に広がっている場合は、皮膚科を受診することをお勧めします。

水ぶくれが破れてしまった場合は、その部分を石鹸と水で優しく洗い、清潔な状態を保ちましょう。その後、抗菌軟膏を薄く塗り、清潔なガーゼや包帯で覆うことをお勧めします。
皮がむける場合
日焼けの回復過程で皮がむけることがありますが、これは自然な治癒過程です。皮がむけている部分を無理に引っ張ったり、はがしたりしないでください。
皮がむける時期は特に保湿を徹底しましょう。乾燥すると皮がさらにめくれやすくなり、見た目も悪くなります。低刺激の保湿剤をこまめに塗ることをお勧めします。
皮がむけた後の新しい肌は非常に敏感で、紫外線の影響を受けやすい状態です。外出時は必ず日焼け止めを塗り、帽子や日傘などで日差しを避けるようにしましょう。
皮膚科医が推奨する日焼け後の生活習慣
日焼け後の肌回復を促進するためには、スキンケアだけでなく、生活習慣の見直しも重要です。皮膚科医として、以下のポイントを特に意識していただきたいと思います。
睡眠と栄養の重要性
質の良い睡眠は、肌の回復に不可欠です。睡眠中は肌の修復機能が活発になるため、十分な睡眠時間(7〜8時間)を確保しましょう。
また、栄養バランスの良い食事も重要です。特にタンパク質は肌の修復に必要な栄養素なので、肉や魚、豆類などから積極的に摂取しましょう。ビタミンA、C、Eなどの抗酸化物質も肌の回復を助けます。
水分補給も忘れずに。日焼けにより体内の水分が失われやすくなっているため、普段より多めに水分を摂取することをお勧めします。
入浴方法の注意点
日焼け後の入浴は、肌への刺激を最小限に抑えることが大切です。熱いお湯は避け、ぬるめのお湯(38℃前後)で短時間(10分程度)の入浴を心がけましょう。
ゴシゴシと強くこすらず、手のひらや柔らかいタオルで優しく洗います。また、刺激の強い入浴剤や香料の強いボディソープは避け、低刺激の石鹸を使用しましょう。
入浴後は、すぐに保湿ケアを行うことが重要です。お風呂上がりの肌は水分を吸収しやすい状態なので、この機会を逃さず保湿しましょう。

入浴後は体が温まっているため、冷房の効いた部屋に長時間いると体が冷えすぎてしまいます。適切な室温を保ち、体の冷えすぎに注意しましょう。
日焼け後の肌回復を促進するサプリメント
肌の内側からのケアとして、サプリメントの活用も効果的です。ただし、サプリメントはあくまで食事の補助であり、バランスの良い食事が基本であることを忘れないでください。
抗酸化作用のある成分
日焼けによる肌ダメージの多くは、紫外線によって発生する活性酸素が原因です。抗酸化作用のある成分を摂取することで、この活性酸素から肌を守ることができます。
ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、アスタキサンチンなどが代表的な抗酸化成分です。特にビタミンCとビタミンEは相乗効果があるため、一緒に摂取するとより効果的です。
肌の修復を助ける成分
肌の修復を促進する成分としては、コラーゲンペプチドやセラミド、ヒアルロン酸などが知られています。これらは肌の構成成分であり、内側から補給することで肌の回復を助ける効果が期待できます。
また、亜鉛やビタミンB群も肌の修復に重要な役割を果たします。特に亜鉛は皮膚の新陳代謝に関わる酵素の働きをサポートするため、積極的に摂取したい栄養素です。
サプリメントを選ぶ際は、信頼できるメーカーの製品を選び、用法・用量を守って使用することが大切です。また、持病がある方や薬を服用している方は、医師に相談してから使用することをお勧めします。
まとめ:日焼け後のケアで美肌を守るために
日焼け後のケアは、肌の回復と将来的なダメージ予防のために非常に重要です。ここで紹介した方法をまとめると、以下のポイントが重要となります。
まず、日焼け直後は「冷やす」ことを最優先し、炎症を抑えましょう。場合によってステロイド外用により強力に炎症を抑えます。その後は低刺激の化粧品で「保湿」を徹底し、肌のバリア機能の回復を助けます。赤みや痛みが落ち着いてきたら、美白成分を取り入れてシミや色素沈着を予防します。
また、肌の回復には内側からのケアも欠かせません。バランスの良い食事、十分な睡眠、適切な水分補給を心がけましょう。必要に応じてサプリメントも活用することで、肌の回復をサポートできます。
日焼けは一度起こってしまうと完全に元に戻すことは難しいため、予防が最も重要です。日常的な日焼け対策として、日焼け止めの使用、帽子や日傘の活用、日陰の利用などを心がけましょう。
肌は一生付き合っていく大切な臓器です。適切なケアを行い、健やかな肌を維持していきましょう。もし日焼けの症状が重い場合や、自己ケアでは改善しない場合は、迷わず皮膚科を受診してください。
当院では日焼けによる肌トラブルの相談も承っております。お肌のことでお悩みがありましたら、お気軽に駒沢自由通り皮膚科までご相談ください。皆様の肌の健康をサポートいたします。
監修:白石 英馨(しらいし ひでたか)
駒沢自由通り皮膚科 院長・日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
東京慈恵会医科大学医学部卒業後、同大学附属病院や関連病院にて皮膚科診療に従事。アトピー性皮膚炎やニキビといった一般皮膚疾患から、ホクロ・イボの外科的治療、美容皮膚科領域まで幅広く経験を積む。
2025年3月、世田谷・駒沢に「駒沢自由通り皮膚科」を開院。小さなお子さまからご高齢の方まで、地域に根ざした“かかりつけ皮膚科”として丁寧でわかりやすい診療を心がけている。
- 所属学会:日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会 ほか
- 専門分野:皮膚科一般、小児皮膚科、美容皮膚科、日帰り皮膚外科手術
